中々評価の難しい本です。
科学に親しみがあり、IT、バイオ、宇宙、ナノ、環境、エネルギーなどの知識を持っている人に対しては「別に読む必要はない本」ですが、もしそういった科学技術に対する知識が無い人に対しては「読むべき本」と言う評価になります。
内容としては日本の国家が政治、教育、経済で三流国であり、次世代のへの対応や柔軟性、国際性の観点から脆弱極まりないことをデータから示すことから始まり、戦後日本の科学政策とアメリカのそれを比較、80~90年代まで様々な分野で日本が勝っていたこと(ヒトゲノム解析やIT構想)や日本の政策的脆弱性から一気に追いぬかれたことをつらつらと書き綴ります。
その後にナノ、エコ、ゲノム、インナー、サイバーに関連する技術的な見識が書かれていますが、その達成困難度や産業としての予想樹立年度、経済規模、魅力、産業形式などの観点からは捉えられていませんでした。資本主義の観点から科学を見れると良かったです。
広範な範囲に対する知識は中々のものであり、特にIT関連領域に対する歴史観は読むに値する書籍であったと思われます。
ただ経済や経営、国際情勢の見識が少し欠けていると言わざるを得ない文章が幾つかあったことは確かだと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
Future Prediction
- 感想投稿日 : 2011年10月27日
- 読了日 : 2011年10月27日
- 本棚登録日 : 2010年8月16日
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