ドキュメンタリーの映像作家でもある著者が、超能力者や超常現象について自らの体験をベースに考察した本。
日常でよく聞く「オカルト」という語だが、本書のまえがきに相当する「開演」では、「オカルトの語源はラテン語『occulere』の過去分詞『occults』で、意味は隠されたもの。」であることを初めて知った。
また、同じ「開演」内でオカルト現象は「現象そのものが人の視線を嫌うという印象を僕は持っている。」と書いているところに深く納得。
著者はその「隠されたもの」を何とか明るみに出そうと、聴力者や超心理学研究者、超常現象が起きた場所へと取材を試みている。
著者の姿勢はそのような現象を猛進するわけでもなく、かといって頭から否定するわけでなく、超能力や超常現象が、トリックである可能性をできるだけ排除したうえで誰にも明らかな形として紹介できないかという立場。
そのことは、自らトリックを使っていると明言してパフォーマンスを行うメンタリストにも及んでいることからもうかがえる。
しかしながら、取材を重ねてみても結局真相は明るみに出ず、依然として隠れたまま、あるいは隠されたままで結論は出ずじまい。
それでも著者はあとがきにあたる「終演」の項で、「説明できないことや不思議なことはいくらでもある。確かにそのほとんどは、錯誤かトリックか統計の誤りだ。
でも絶対にすべてではない。淡い領域がある。あいまいな部分がある。そこから目を逸らしたくない。見つめ続けたい。」とその決意を表明しているので、さらなるオカルト探求の旅の模様が知らされるのを楽しみに待つことにしよう。
- 感想投稿日 : 2020年9月7日
- 読了日 : 2020年9月4日
- 本棚登録日 : 2020年8月30日
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