大友克洋全集のうち、「童夢」を部分的にカラー化し、本人の解説と共に収録した巻。
後のマンガに多大な影響を与えた超名作「童夢」が、初回単行本刊行時(1983年)より大判で、かつ一部ではあるが、効果的にカラー化されていることで、新鮮、かつ迫力増で読めるのはうれしい限り。
また、著者本人の解説が当時のロケハン写真とともに掲載され、製作の経緯や、登場人物の命名の由来等々、初めて知る内容があったのも良かった。
「童夢」で初めて登場した、精神波攻撃を受けた相手を中心に壁が円形状にへこむという表現は、今のマンガでもあちこちで見ることがある。
おそらくサイコバトルシーンがあるマンガではデファクトスタンダードとなっている表現だと思うが、原点は本作のはず。
これ以外にも、大友作品は国内外を問わず、絵画、マンガ、映像等のクリエイターたちに、意識、無意識のうちに多大な影響を与えていると思うので、その観点からも全集で著者作品の全容を整理、かつ明らかにしてくれるのはすばらしい。
無事の全集刊行完結を切に願う次第。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2022年5月28日
- 読了日 : 2022年5月16日
- 本棚登録日 : 2022年5月14日
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