「峠の弁天様」と呼ばれる美しい志乃と寡黙な半平。疲れた旅人を癒す茶店を営む、曰くありげな夫婦。世間を騒がす盗賊騒動から、二人の素性が徐々に明かされていく。出奔の元となる派閥争いからくる、藩を揺るがす事態に、お互いの固い信頼と労わりあう心で立ち向かう。刀を捨て、愛しい幼子を捨て、苦難の15年で育まれてきた夫婦の情愛がたまらなく美しい。峠を上がってくる半平と出迎える志乃の姿を思い浮かべつつ、しばらくはこの余韻に浸っていたい。これぞ葉室麟作品。
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図書館(は行)
- 感想投稿日 : 2019年1月16日
- 読了日 : 2019年1月16日
- 本棚登録日 : 2019年1月16日
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