民法という日本の法体系の中心に位置する法律の中核部分が、制定以来100年余りを経て、初めて大きく改正されようとしている。
この民法改正について、実際に法務省参与として深く関わる内田貴氏がわかりやすく解説している。
本書は民法改正を中心にしながらも、民法全般について、歴史的な背景や諸外国の動向など、時間的にも空間的にも広がった、より大きな枠組みで解説がなされている。そのため、民法など法律について詳しくない人でも、書いてある内容を自然と無理なく理解できるだろう。
今回の改正の理念は、1896年の制定以来の社会的、経済的変化に対応する現代化を図ることと、国民一般にわかりやすいものにすることである。
時代に即した改正を行うことで、日本民法を国境を越えた取引で準拠法として使ってもらう。グローバル化の進行により市場が統一されていく中で、自国の法律が準拠法となることの経済的利益は計り知れない。
条文が少なく解釈中心の今の日本民法を理解できるのは、限られた一部の人だけである。裁判員制度が始まり、法化社会へ進み始めた現状において、一般市民と深く関わる民法をわかりやすく改めるのは当然だと思われる。また、これにより、法務部を持たない中小企業の法務コストは削減されるだろう。
今回の改正について実務家から批判もなされているが、大局的な目線に立った改良が行われてほしいと思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2012年12月10日
- 読了日 : 2012年12月10日
- 本棚登録日 : 2012年12月8日
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