日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2013年5月17日発売)
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感想 : 28
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□内容
なぜ、方言はうらやましがられたり、馬鹿にされたりするのか。『となりのトトロ』のサツキとカンタの会話から、何が分かるのか。あの人はなぜ自分のことを「オレ」と言ったり「ぼく」と言ったりするのか。ママと呼んでいたのがかあさん、おふくろ、母親、と変化するのはなぜか。状況に合った敬語が使えるようになるにはどうしたらよいのか…。学校では教わらない、でも、一番「伝わる」日本語とは…?「生きた言葉」と、環境(社会)との関係を科学する―「ことばの社会学」の入門書。 by アマゾン

□感想
『文章は接続詞できまる』でも感じたが、なにか物足りない。各章の最初と最後を読めば主要はわかる。タイトルやトピックのネーミングも上手だ。けれども、何かが足りない。それってなんだろう。
社会言語学の入門書というように、網羅(といっても、社会言語学の本は読んだことはない)しているが、広く浅くというものだ。

興味深いのは次の3つ。

話し手は、親しさを示したい場合は相手の言葉遣いに合わせ、反発を感じる場合は相手の言葉遣いを合わせない傾向がある。それを分析するのがアコモデーション理論である。p.115
→本書では帰省したら「関西弁」、子どもには子どもにあった「話し方」、外国人にはできるだけわかりやすい日本語で話そうとする、ということを「言葉遣い」としている。後述したのは親しくしたい、というものもあるがマナーや思いやりということもあるだろう。
たしかにm親しくしたい場合、(意識したことはないが)自然と相手にあった言葉遣いをしている。また相手の使う「言葉」を使って話をしようとする。これも結構あるのでは?

英語は性差別語(sexist language)だと言われることがある。例として、chiairman,policemanなどmanを用いたり、actor/actress, waiter/waitressのように男が基本形で女が派生形だったりする。これらに対して性中立語にする動きがある。
これらに対して社会的な反発がある。問題は言葉にあるのではなく、差別意識にある。言葉の言い換えに終始しても意識を改革しないことには根本的な解決にならない。その言葉が相手を侮蔑するかどうかは文脈によって決まることが多く、文脈を無視して表面的な言葉の使用だけを問題にしていいのか、という意見もある。
でも、言葉は自分でいうことは許されても人から言われると傷つく。例えば、「おれ、デブだからさ」と自分でいうのと、「お前、デブだな」と人からあらためて言われるのとでショックを受ける。pp.211-214
→うーん。もう少し書いてほしい。誰かこれについて話しましょう。

同じ意見文を書いてもらった場合でも、国によって色が出る。韓国人は身近なことについて引きつけて自分が感じたことを大切にするのにたいし、中国人は身近なことを書いても最終的には一般化して、経済・社会・文化といった大きな枠の中で教訓的に取り上げる傾向がある、ドイツ人の文章は飛躍が少なく、接続詞などで丁寧に理論を追っていくのにたいし、フランス人の作文は表現に凝る印象があり、批判的な見方を忍ばせる傾向がある。
どこまでが言語の問題で、どこまでが文化あるいは教育の問題かわかりにくいところはあるが、書き手の言語的・文化的背景が反映されていることはたしかだ。 pp.214-219

(まっちー)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年5月29日
読了日 : 2013年5月29日
本棚登録日 : 2013年5月29日

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