不確定性原理をめぐる本。理論の説明や解釈よりも、当時の物理学者、ボーアやシュレディンガー、アインシュタインらの言動の描写がメインハイゼンベルクによる量子力学の概念はパウリに「ぼくに生きる喜びと希望を与えてくれた」と言わせたが、アインシュタインは「(量子論は)大しくじりだ」と否定し、最後まで認めなかったという。理解することは予測することであるという因果律を明らかにすることこそが科学であるという立場から、確率に支配された量子力学はとても受け入れられなかったのだろう。最後に触れられているように、古典物理学ではどんな出来事であれ、それに先立つ出来事が原因となる必要があるため、宇宙が生まれた理由については語りえない、というのはまさにその通りで、ビッグバン理論に量子力学がからんでくる背景が少し理解できたように思う。ボーアの相補性物事の見方には複数あり、互いに補完しあう相補的な見方がある。生物は、物理学的には多数の分子がつながりあった集団とも、意志や目的によって機能している統一体ともとらえられる。が、同時に二つの見方をすることはできない。ボーアはある講演で「目的という概念は、力学的解析には無縁のものであるにもかかわらず、生物学ではある種の適応性がある」、つまり目的というものは分子レベルでは全く意味がないし、このように観察のレベルが異なれば異なった所見、場合によっては矛盾するような所見も現れる。■私としては原子の世界では決定論を放棄したいとおもう(ボルン)
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- 感想投稿日 : 2007年12月14日
- 読了日 : 2007年12月14日
- 本棚登録日 : 2007年12月14日
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