意外な出版社から出た翻訳。内容は非常にカタく、ちょっと一般向けではないのが残念か。抗うつ薬、特に最近のSSRIの効果はプラセボ効果に過ぎないということが延々主張されているが、この手の本にありがちな製薬会社批判がなく、専門書っぽい書きぶり。・臨床試験では実薬がプラセボを少しだけ上回っているという結果が出ているが、これは被験者が副作用を自覚することで実薬に割り振られたと認識することによる。実際、アトロピンなどのように副作用のある薬剤を対照として用いた試験では、抗うつ薬との差がなくなる。・モノアミン仮説も間違っており、depletion study の結果を見ても(少なくともFHのない人では)moodとセロトニンは関係がないし、SSRIとは逆に、再取り込みを促進するような薬剤でも抗うつ効果はみられる。
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- 感想投稿日 : 2010年5月8日
- 読了日 : 2010年5月8日
- 本棚登録日 : 2010年5月8日
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