パンツが見える。: 羞恥心の現代史 (朝日選書 700)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2002年5月1日発売)
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男が覗くから女が隠すのか、女が隠すから男が覗くのか? 「なぜ男はスカートの中を見ることに、これほど興奮するのだろうか」という下世話な謎は、「つい数十年前まで、和装の女性はパンツすら履いていなかったのに」(つまり、覗いたところにパンツがあるというのは、男にとって残念でありこそすれ、喜ぶことではなかったはずなのに)という本格的な疑問へと展開される。井上章一は、当時の京大生にとっては必読書だったものだが、おそらく『美人論』以来、20年振りくらいに読んだ。

有名な白木屋ズロース伝説(白木屋の火事で、和服を着ていた女性店員たちが、陰部が野次馬に晒されまいとするあまり、命綱を手放して転落死した)を断定的に否定するショッキングな幕開けに始まる本書は、まさに「知の探求は最高の娯楽」を地で行く面白さで、井上章一は本書によって、この問題における第一人者(一人中)としての立場を確立したと言える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・政治
感想投稿日 : 2015年4月21日
読了日 : 2015年4月20日
本棚登録日 : 2015年4月20日

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