リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上) (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房 (2014年2月7日発売)
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感想 : 26
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2008年 9月、150年以上の歴史を持つ投資銀行リーマン・ブラザーズが Chapter11 による破産を申請したとき、僕はたまたまイギリスを観光旅行中で、リーマンのイギリス支社が本拠を置くカナリー・ワーフ近くに泊まっていた。破産が発表された翌日、ダンボールを両手に抱えた多くの社員が、涙ながらにビルから出て散り散りに去って行ったのを覚えている。オフィスの近所で従業員のペットを預る商売をしていた親父も、連鎖倒産していた。

本書は、ベア・スターンズの破綻・救済から、時々刻々と変化する環境の中でリーマンが破綻に至るまでの各金融機関 CEO、財務省、ニューヨーク連銀、FRB のパニックと奮闘を描く。巻末の「主要登場人物」のリストだけでも 100名以上に及ぶ大著で、ファニーメイ、フレディマックの半国有化に続く、リーマン、AIG、メリルリンチ、モルンガン・スタンレーとどこまで続くのか判らない信用収縮と流動性低下のシーンは圧巻。苦悩する金融エリートの姿はある意味感動的でもあるが、どうも毎日のヘリ通勤とか、社用のガルフストリームで出張とか、株価下落で牧場を売らないといけなくなったとかいう話を聞くにつけ、現実感が薄くなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2014年4月8日
読了日 : 2014年4月8日
本棚登録日 : 2014年4月8日

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