少し幸田文を読んでみたくて、ちくま日本文学。このシリーズは文庫とは言え、巻一に内田百けんを据えるなど、なかなか侮れないコレクションで、各冊も秀逸なアンソロジーとなっている。第5巻 幸田文も、父露伴を描いた『勲章』『蜜柑の花まで』、離婚に終わった自らの結婚生活を描いた『結婚雑談』『雛』といったエッセイ風の私小説から、秀逸な小説である『黒い裾』、あっと驚くラストが印象的な『段』『鳩』、そして自らの小学生時代の心象を鮮やかに描いた(そう、こんなに鮮やかに子供の頃の気持を覚えているものかと驚かされる)自伝的中編『みそっかす』とバラエティに豊み、偏らない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2018年10月24日
- 読了日 : 2018年10月24日
- 本棚登録日 : 2018年10月24日
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