本多静六 3部作 2冊目。3部作としては 3冊目で、遺稿を孫や友人らが編み直したもの。「物事には計画が必要。いわんや、人生においておや」という観点から、就学、就職、結婚、勤労、隠居(今風に言えば、retirement か)までの心得を説く。いかにも人生の達人らしく、「長所と交われば悪友なし」「(年老いてからは)教訓をたれるのではなく、物語を語れ」など、洞察鋭い金言が多い。
その結婚観にはやや時代がかったところがあるという批判があるかもしれないが、個人的な感想としては、21世紀の今読んでもまったく遜色無いどころか、むしろここに回帰すべきと思われる。中卒就職のメリットを説くのも、今の時代に似わないという意見があるやもしれないが、しかし、学究の意図が無いにもかかわらず万人が何の疑いもなく大学進学を目指す(しかも、4年間遊んだ挙句に就職ができないと騒ぐ)昨今の風潮に照らせば、いちいちうなずくことばかり。
戦後、資産の安定運用が困難になったことから、老人難渋の時代を予見しているのも、「老後破産」が社会問題となっている今日から見ると慧眼を通り越して空恐しいばかりの黙示録だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
自己啓発
- 感想投稿日 : 2016年1月3日
- 読了日 : 2016年1月2日
- 本棚登録日 : 2016年1月2日
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