本書の原本は1993年刊行だから20年以上も前だ。それにも拘わらず新鮮な気がするのは、今でも織田信長ものはムック本や雑誌特集などで頻繁に取り上げられ、常識を覆した天才ともてはやされているが、それら天才の事跡が史実ではないと明確に示したからだ。
織田信長と同時代人の太田牛一の信長公記を丹念に読み解き、信長の戦いの特長は、奇襲や新戦法ではなく、常套手段を用い相手より大勢で臨む慎重な戦いぶりと調略と同時に動くスピードにあると考察する。
本書は、まず信長公記の特色を丁寧に説明し、その後に桶狭間、美濃攻め、姉川、長嶋一揆、長篠、石山本願寺、と解説する。
巷間に伝わる奇襲戦などは後世の物語であり、帝国陸軍もそれを学んで奇襲好きになったのが旧軍の悪弊につながったとも指摘する。
本書を持ってそれらの古戦場をめぐると、きっと楽しいに違いない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
読んだ本
- 感想投稿日 : 2014年12月23日
- 読了日 : 2014年12月23日
- 本棚登録日 : 2014年12月15日
みんなの感想をみる