民俗学者・宮本常一氏の指導を受けたことがあり、宮本の提唱する「調査地被害」を調査先の人々とのやり取りの中で実感した安渓氏のブックレット。この手の話はフィールドワーカーなら少なからず経験したことがあるし、「調査地被害」を自分の手で起こさないように気を付けているハズ。だから同業者(とくに年配の)から、「わざわざこんな話を本にする必要はない」だとか、「安渓氏こそ、フィールドに溶け込めていないから、こんな思いをするんだ」と言われそうだ。でも安渓氏が同書の中で語っているように、この手の話はなかなか文字化されることはなく、貴重な記録であるといえ(当たり前のことを分かりやすく書くことは、すごく重要なことと思う)、とくにフィールド調査をしたことのない学生にとってはヨイ教科書になると思われる。もし私自身がフィールドワークについて語る機会があれば、テキストとして使用したいと思ったほどだ。
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カテゴリ:
民俗学
- 感想投稿日 : 2008年9月18日
- 本棚登録日 : 2008年9月18日
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