持続可能な魂の利用 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2020年5月19日発売)
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本棚登録 : 1516
感想 : 165
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『持続可能な魂の利用』読了。
私がずっと感じていたアイドルに対する違和感と絶望的な日本の社会情勢を体現している小説でした。潔かった。
読んでいくうちに、私の中でどんどん「レジスタンス」が湧き上がる。多分、これは私の生きづらさを作る原因に対する怒りだと思う。夢中になって読みました。
誰しもが「おじさん」になりえる。私もその「おじさん」になってしまう前に声を出して自分の意思や主張を言うことが出来るだろうか。
ここで腐って、どうせ変わらないんだからで、終わらせたくない。どうせ終わるなら終わる前に好きなようにさせてくれと叫びたくなった。
私も生意気な女って自覚しているからなー、、凄く目ぇつけられることが度々あったんだけど。世間に蔓延るこの体質はいつからなんだろうな。すっごく嫌で私もどこかで諦めていたのかもしれない。考えるきっかけになったよね。
些細なことでいい。声に出さなきゃ何も変わらないってことを知った。
主人公として登場する敬子は最近やっているドラマ『最愛』に登場する橘しおりみたいな人なのかなと読みながら思った。
『最愛』に登場する橘しおりは悲運な死に方をしたんだけど、彼女もどこか女性であることに絶望しているような眼差しをしていることがあった。なんとなく重なった。

2021.12.13(1回目)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 松田青子
感想投稿日 : 2021年12月13日
読了日 : 2021年12月13日
本棚登録日 : 2021年12月12日

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