まぁるい死 鳥取・ホスピス診療所の看取り

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  • 朝日新聞出版 (2019年11月7日発売)
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医師になって45年
「野の花診療所」を開設して18年

診療所で、在宅で看取った“死”をめぐるエッセイ集

《「ロックンロール」が口癖の内田裕也さんによく似た男性が外来に通ってくる。》

《6月、悪性リンパ腫の末期の患者さんが入院した。》

《「先生、電話が入ってました。がんの同級生のことで相談に乗ってほしいそうです」と、看護師が言う。》

《お母さんの病気、中学2年生の子にどう伝えるか。いつも悩む。》

《長年亡くなる人を看取る仕事を続けているのに、まだいくつもの初めてがあって、驚く。》

八百字ほどの冒頭の一文に引き込まれ、死の多様性と家族の姿に胸を打たれる

《臨床では、死に向かいながら死を咀嚼し、死を解き、ほぐし、溶かす仕草に達する患者さんや家族の姿を目にすることがある。発せられる声、言葉にもやわらかな変化が生まれる。死がまぁるく見えてくることもある。不思議で大切な光景だ。
……一人一人の姿が、一人一人の死が、叶うことならまるみを持つことができればと願う。そう思いながら臨床医を続けてきたし、続けていきたい。》──「あとがき」より

朝日新聞中国地方版の連載「野の花あったか話」(2015年2月7日から2019年2月19日)94回分に、野の花診療所の機関誌「野の花通信」巻頭エッセイ17回分(2010年2月から2019年1月)を収録

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ひげうさぎ文庫プラス
感想投稿日 : 2019年12月25日
読了日 : 2019年12月23日
本棚登録日 : 2019年12月25日

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