医師になって45年
「野の花診療所」を開設して18年
診療所で、在宅で看取った“死”をめぐるエッセイ集
《「ロックンロール」が口癖の内田裕也さんによく似た男性が外来に通ってくる。》
《6月、悪性リンパ腫の末期の患者さんが入院した。》
《「先生、電話が入ってました。がんの同級生のことで相談に乗ってほしいそうです」と、看護師が言う。》
《お母さんの病気、中学2年生の子にどう伝えるか。いつも悩む。》
《長年亡くなる人を看取る仕事を続けているのに、まだいくつもの初めてがあって、驚く。》
八百字ほどの冒頭の一文に引き込まれ、死の多様性と家族の姿に胸を打たれる
《臨床では、死に向かいながら死を咀嚼し、死を解き、ほぐし、溶かす仕草に達する患者さんや家族の姿を目にすることがある。発せられる声、言葉にもやわらかな変化が生まれる。死がまぁるく見えてくることもある。不思議で大切な光景だ。
……一人一人の姿が、一人一人の死が、叶うことならまるみを持つことができればと願う。そう思いながら臨床医を続けてきたし、続けていきたい。》──「あとがき」より
朝日新聞中国地方版の連載「野の花あったか話」(2015年2月7日から2019年2月19日)94回分に、野の花診療所の機関誌「野の花通信」巻頭エッセイ17回分(2010年2月から2019年1月)を収録
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ひげうさぎ文庫プラス
- 感想投稿日 : 2019年12月25日
- 読了日 : 2019年12月23日
- 本棚登録日 : 2019年12月25日
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