どろぼうのどろぼん (福音館創作童話シリーズ)

著者 :
  • 福音館書店 (2014年9月15日発売)
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どろぼんはどろぼうの天才です

背が高くもなく低くもなく
ふとってもやせてもおらず
十代かもしれないし五十代かもしれず
たしかに会ったことがあるはずなのに
顔も声も思い出せなくなってしまう
そんな男です

ですから千回もどろぼうしているけれど
ケイサツにつかまったりおいかけられたりしたことがありません

それだけでなく、どろぼんがぬすむのは
持ちぬしが、それがあったことさえおぼえていないもの
なくなったことさえ気づかないものばかり

どろぼんはそういうものの声を聞ききとることができるので
耳をすませて声のみちびくままにどこへだって忍び込み
だれにも気づかれることなくぬすみ出してしまえるのです

そんなどろぼんを刑事のぼくはつかまえてしまいました
さあ、どろぼんの取り調べがはじまります

人が信じられなくなった人に贈る心ふるえる物語
詩人斉藤倫の初の長編物語、2014年刊

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ひげうさぎ文庫
感想投稿日 : 2018年9月11日
読了日 : 2018年9月8日
本棚登録日 : 2018年9月11日

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