元外交官、防衛大学校の 孫崎亨の最新の書だった。
日米同盟や戦略的思考の本もあるが、今回は2010年にいろいろと問題が起こった、尖閣諸島、竹島、北方領土の問題を、中国の軍事大国化、アメリカの思惑などもからめながら、歴史的検証もいれて書いている。
ドイツの敗戦国としての戦略を例に出しながら、強い者ほど譲らなければならないということで、イラン・イラク戦争、中ソの問題を提起しながら、領土問題(国境問題)を世界がどのように解決してきたか、また、歴史的に検証をしっかりしたうえで、議論を成り立たせることが必要だと書いている。
紛争解決の交渉として、国益論や一般的な交渉としてできる方法論、個々の事例で行える方法論などについてもまとめており、体系的な領土問題における国際交渉論としても有効な本だと思う。
ナショナリズム的な感情的になりやすいことをしっかり論証している点が晴らしい。領土問題を考えるには、まずこのようなことを押さえた上で、考えたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
政治
- 感想投稿日 : 2011年7月19日
- 読了日 : 2011年7月19日
- 本棚登録日 : 2011年7月19日
みんなの感想をみる