お金とつきあう7つの原則

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  • ベストセラーズ (2010年3月26日発売)
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投資の話より、人生訓的な話が中心。
最初の章(お金と爽やかにつきあう〜結論付きの長い前書き)と最後の章(第6章 お金の増やし方)が興味深かった。

【以下、興味深かった記述を抜粋】※「?付きの文章」は自分の感想
・大きな支出から順に節約する。住居費、自動車経費、生命保険、子供の教育費。<P13>

・簡単ではないが、努力してみる。<P24>
  ?バブル崩壊を出来れば避ける。
  ?崩壊後の金融緩和からの資産価格上昇プロセスを狙う。

・お金はツール(手段)なので、こだわらない。こだわると悪影響の方が大きい(心配、満足できない、追い立てられる、ケチになる)<P60>

・1年間の平均株価の上下のような予測が難しく「概ね運」な部分については損をするのは仕方がない。運は鍛えたり改善したり出来ない(だから運なのだ!)。<P63>
  結果論の損得のコントロールの効かない部分と、改善できる意思決定の損得を混同するのは、ナンセンス。
・合理的なお金の扱い方は、しばしば自然な感情と対立するし、金融ビジネス側は、そこにできるギャップを儲けの種にしようと狙っている。<P64>

・お金の関わり方で区別した階級。<P82>
  ?株式階級   …年収=数億。起業家。株式公開で稼ぐ →将来の会社の価値まで含めて、現在の富を手に入れる(資本主義というゲームで、一番効率が良く稼げる)
  ?ボーナス階級 …年収=数千万。金融機関などに勤務。
  ?給料階級   …年収=数百万。安定的な雇用。
  ?非正社員階級 …雇用の継続性がほとんど保証されない

・自分の代わりの少ない仕事を選んだ方が、有利に稼げる →一種のブルーオーシャン?<P88>
  1つの長所を極めるのではなく、複数の長所を組み合わせた方が、「代わりの利きにくい自分」をつくり易い
  自分の時間と努力を投入し、何を得ようとするのかを常に考える。同じ頑張るなら、効率的に。なりふり構わず身体を動かす前に、少し頭を使う。 →ごもっともw でも、なかなか出来ない(><)

・十分有効な方法がないのに、「将来のインフレ率に注意して、実質価値でものを考えろ」とばかり言うのは、ある種罪作りなアドバイス。不必要または偏った対策を取ってかえって損をしないよう注意。<P110>

・銀行が破綻すると、預金が(預金保護の上限の)1千万円未満の場合でも、破綻処理が完了するまでの間は、実際に引き出せるお金は60万円程度。<P130>

・金融機関(銀行など)のビジネス。<P148>
  これまでは預金者からお金を集め、それを企業に貸し付けることで利鞘を稼ぐことで成り立ってきた。しかし、融資には手間とお金が掛かるし、優良な(=返済が心配が少ない)資金需要が減ってしまった。
  そこで、最近は、お金持ちには資産運用を持ちかけて、その手数料を取り。貧乏人には頻繁にお金を貸して、その金利を取るというビジネス・モデルへの移行が加速している

・株式投資はギャンブルに参加するくらいの覚悟を持ちつつも、有利だと思うからやってみよう、という心持ちで参加すべきゲーム。<P204>

・分散投資<P208>
  ?資産の分散 →リスク低減効果がある。リターンが異なる動きをする複数の資産に資金を分けて投資すると、リスク1単位当たりの期待超過リターンを、単一の資産に投資するよりも有利にすることが出来る
  ?時間の分散 →リスク低減効果はない。
    (錯覚1)「ドルコスト平均法」など売買タイミングの分散にリスク低減効果があるように思うのは概ね錯覚。気休めと積立が貯蓄に向いた習慣だというに過ぎない。
    (錯覚2)「長期投資」など投資期間が長くなるとリスクが小さくなるというのは誤り。リスクのものは投資期間の長期化と共に拡大する。 ←短期より長期の方がリスクが高い為、「長期金利 > 短期金利」となる。

・投資とその期間に関する正しい理解は次の通り。<P207>
  ?投資期間が長期化するとリスクも大きくなるが、同時に期待収益も大きくなるので、投資期間は投資家が取ることのできる運用リスクの大きさに大しては概ね無関係。
   →長期投資の効果に過大な期待を持たない
  ?投資の際にどれだけ大きなリスクを取ることができるかは、運用期間の長短ではなく、投資する際の本人の家計の状態やリスクに対する意思によって決定されるべき。
  

・リスク資産への投資額の1/3を失っても生活にも精神にも支障が起きない金額に投資額を抑える。<P210>

・株式と不動産がバブルであるか否かを判断するには、大まかには、「株式の場合は利益と株価」、「不動産の場合は賃貸収入と不動産価格」を比べてみると良い。<P225>
  アメリカの株式の場合、経験則的に平均的な大型株の株価が「PER20倍」を超えると、株価が割高だと言われている。
  (山崎氏の判定法)
    企業全体の利益成長率(名目GDP成長率で代用) + 株式の期待投資収益率(PERの逆数 例、PER20→5%) - 長期金利(長期国債利回り) →7%以上なら株価が割安。6%なら普通。5%未満なら割高と判断。
    しかし、この方法は金融危機発生後の企業の劇的な減益によって、しばらく機能しなくなっている。
    当面(2010年)の日本株の場合、配当利回り(長期国債利回りとどちらが大きいか)やPBR(株価純資産倍率1.5倍くらいまでは株価が割安)といった代用的な尺度を使わねばならない。

・バブルのサイクルを現実の運用に生かすには。<P231>
  ?明らかにバブルだと思うのでなければ、自分がとっても大丈夫だというリスクの上限まで国内外のインデックス・ファンドによる株式投資を続ける
  ?株価が上昇し、経済の明らかな好転を背景にFRBが金融引き締め(利上げなど)に取り掛かる →投資可能額の25%を現金化する
  ?さらに株価が上昇し、「株価はどうしようもなく割高だ」と思う →投資可能額の50%を現金化する
  ?さらにいよいよバブル崩壊が始まったと思う  →投資可能額の75%を現金化する
  ?バブルの崩壊に耐えつつ、チャンスを待つ

・運を用いると書いて「運用」というが、同好の士にはぜひ、運を楽しむ境地に達してほしい。<P234>

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 投資
感想投稿日 : 2010年5月29日
読了日 : 2010年5月29日
本棚登録日 : 2010年5月29日

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