”“本と人が出会う、そのあいだの部分には、まだやれることがたくさんある”
本書のメッセージは、ずばり、“あなたも「本屋」に”!
それも、いわゆる紙の本を売る「書店」ではなく、コミュニケーションの媒介者としての「本屋」に!という主張だ。
2005年に、内沼さんが率いるブックピックオーケストラの企画する encounter. というブックルーム@横浜・馬車道に遊びに行ったことがある。これも「本」を活かしたワクワクするコミュニケーションの場だった。
http://hiroc.dreamlog.jp/archives/2380607.html
http://hiroc.dreamlog.jp/archives/2380613.html
いま内沼さんが手がけている下北沢の新刊書店B&Bは Book&Beer の略。実際には、本屋×イベント×ビール×家具の組み合わせで展開しているのだとか。毎日イベントを実施したり、ビールを飲みながら本を探せたり、売り場にある本棚がアンティークの売り物だったり…。なんとも不思議で楽しそうな空間!
http://bookandbeer.com
このほか、書店で扱う雑貨を開発する BIBLIOPHILIC ブランドを立ち上げたり、
http://diskunion.net/bibliophilic/
これからの執筆・編集・出版に携わる人をつなぐ「広場」としての DOTPLACE を運営したり、
http://dotplace.jp/
本好きには、目がはなせない存在だ。
ワクワクしながら最後のページで投げかけられたメッセージ(あなたも「本屋」に!)を読んで、ふと考えた。
顧客目線で見ると、自分の地元にはどんな「本屋」が求められているのだろう?
本と何を組み合わせれば、面白いコラボができるだろう?
今後考えていくいいテーマをもらった気がする。
素敵な出会いに感謝!
<キーフレーズ>
・本と人が出会う、そのあいだの部分には、まだやれることがたくさんある気がする。自分には、出版業界を変える仕事ができるかもしれない。(p.020)
#大学生の頃、内沼さんが就職活動を前に考えたこと。
★この「情報を絞る」と「引用して切り出す」という二つの方法はおすすめです。(p.032)
#文庫本葉書などのアイデアの根幹。このMMでもつかってみよう。
・本による本のための「逆襲」(p.045)
本はすべてのコンテンツとコミュニケーションを飲み込んで、領域を横断して拡張していく。
#本はもはや定義できない
・本の最適なインターフェイス(p.090-087)
#検索したい→宣伝したい→販売したい→共有したい
#辞書・電話帳、映画情報誌、商品カタログ、クックパッドの料理レシピ…
・本の最小単位は「論点」(p.097)
#むかし考えてた、超パーソナル週刊誌って、そんな感じだなぁ。
・ぼくの考える「大きな本棚」とは、その前に立って本の物量に圧倒される経験が人を「本好き」にするような、そういう本棚です。(p.130)
#「公共財」としての本。街の書店から公共図書館へ。
★「本屋」はどちらかというと「人」で、本を媒介にした「人」とのコミュニケーションを求める。<中略> 本好きというのは「自分」という存在への関心が高い人ですから、出会った本について人と語り合いたくなる。「本屋」はその媒介者なんです。僕はその「本屋」という生き方が楽しいんですよ。(p.135:鳥取 定有堂書店 奈良敏行さんの発言)
#「空間」ではなく「人」
##このインタビューが載っている BRUTUS「本屋好き。」、自宅本棚にあった!
★コンセプトは「これからの街の本屋」(p.139)
#2012年7月 下北沢にオープンした「B&B」=BOOK&BEER
#毎日イベントを開催する、ビールをはじめとするドリンクを提供する、本棚を中心とした家具を販売する
・本屋が片手間でやっていると思われて、最初は味を期待されていない場合が多い。そこが逆にチャンスなのです。(p.150)
#B&Bでのコーヒー、ビールへのこだわり。「本屋なのにビールが美味しいんだよ」「妙においしいコーヒーを出すんだよ」
#期待値が低いというアドバンテージ。家具にも、イベントにも! そして組み合わせの妙
★これからの新刊書店が生き残っていくためには、本と相乗効果のあるいくつかのビジネスを組み合わせて、収益源を確保するという「掛け算型」が、最良にしてほとんど唯一の方法ではないか、とぼくは考えています。(p.154)
#B&Bは、本屋×イベント×ビール×家具!
##自分なら、何がかけあわせられるだろう。塾、ギャラリー、研修、教材?文具、家具、寝具、防具…?地元のお店とのコラボ(焼鳥、散髪、土木、空手、花屋、野菜…)。顧客目線だと何かなぁ。
・そうやって場としての発信力が高まってくるにつれ、店自体が「メディア」のようになっていきます。(p.156)
・必ずしもそれ自体でお金を稼いでいなくても素晴らしい「本屋」はいると、ぼくは考えています。
たとえば、最近注目を浴びている「いか文庫」というユニットがいます。「いか文庫」は、店も商品も持たない「エア本屋」。それぞれ本業を持つ3名のメンバーが自分たちの本屋をやりたいと考え、まるで本屋であるかのように、おすすめの本をTwitterでつぶやいたり、ロゴの入ったグッズを作って販売したりしています。(p.169)
・当面はお金は別の仕事で稼ぎながら、自分なりの小さな「本屋」を試してみる。そういうスタイルのほうに、ぼくは可能性を感じます。(p.174)
★本は形を変えながら、これからもぼくたちの人生を豊かなものにしてくれる存在であり続けます。むしろその新しい形が、より豊かな「読み」をもたらしてくれることもあるでしょう。(略)
あなたも「本屋」に!(p.176)
<きっかけ>
前から気になっていた内沼晋太郎さんの本。買ったものの積ん読になりそうだったが、我が家の本棚「本の本」コーナーを整理していてふと手に取り、食い入るように読んだ。”
- 感想投稿日 : 2019年8月15日
- 読了日 : 2014年3月2日
- 本棚登録日 : 2019年8月15日
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