二つの短編物語。
余分な言葉が削ぎ落とされており潔い。そしてとても読みやすい。短めの物語だが惹き込まれた。
「猛スピードで母は」は芥川賞受賞作、「サイドカーに犬」は芥川賞候補作ということで、暗く重たい話かなと思っていたが、どちらも想像に反して淡々と軽やかに、ときにユーモアも滲ませながら話は進んでいった。
「猛スピードで母は」は母子家庭の小学五年生の男の子と常識はずれの母の物語。豪快で常識はずれな母の我が子への不器用な愛情を感じた。
「サイドカーに犬」は小学四年生の女の子と父の愛人の一緒に過ごした少し奇妙な日々が描かれる。
子どもの置かれた環境から考えると決して明るい話ではないが、その状況を悲観しているでもなく、子どもの視点から淡々と語られていく。
ふと子どもの頃の感覚を思い出す。
子どもって大人が思う以上に感じているし考えているんだよね。
なんだか独特の雰囲気で魅力を感じる作品だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年7月9日
- 読了日 : 2023年7月3日
- 本棚登録日 : 2023年7月3日
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