言葉と写真の組み合わせが素敵で、主張は意欲的なのだが、残念というか不審な点も多々。評判がいい本なので、あえて辛口に以下に示す。
なぜなら絵本はメディアとして無条件に完全、完璧ではないからだ。高低浅深、向き不向きがある。もっというと有毒なものさえあると思う。
1.本書で言われていること(絵本の効用)のエビデンス(科学的根拠)が示されていない。数値や主張の引用元の具体的な参考文献もない。
2.特にネットとケータイを全否定しているかのような記述が気になる。マイノリティにとって、ネットとケータイの存在はつながる手段として不可欠なのに。
3.親族の作品(『ルリユールおじさん』の作者・いせひでこさんは柳田さんの妻、写真は娘)の使用、言及が気になる。
4.「だっこ」のページで、きちんと著作権使用処理がなされているのか。このような場合、絵本のイラストも転載ではなく、「引用」にあたるのだろうか?巻末まで探してもコピーライトの表示がないのが不審だ。
※この点については、諸説ありそう。以下URL参照
http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000132222
5.繰り返すが、ネット利用への弊害への主張が過激で違和感がある。例えば「人は死んでも生き返る、という小学生が10数%~40数%いる」とあるが、1.数値の幅が調査によって広すぎる。2.日本人の死生観として、結構、常識的なのではないか。また、その前のページの5つの弊害も。一般にゲーム脳と言われるえせ科学が元ネタではないか?
- 感想投稿日 : 2014年5月7日
- 読了日 : 2014年5月7日
- 本棚登録日 : 2014年5月7日
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