音楽は自由にする (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2023年4月19日発売)
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本棚登録 : 1277
感想 : 95
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坂本龍一さんの自伝。というかインタビュー形式の対談でご自身が語られた内容が本になったもの。記憶のある幼少時のことから語られている。坂本さんが自然に語っておられる様に感じてしまいます。しみじみ。

語られたことがほぼ直接文章になっているので、様々な言葉に対して注釈が付いている。私も時々注釈を見て、そういうことなのか、と頷いていました。

1950年代からの日本の情景もよく見えてきます。私は年下なので完全に同時代を生きたとは言えないけれど、かなりの部分が重なっている。特に一定期間、同じ地域で暮らしていたことがあり、当時の坂本さんの社会の見方、ご感想・ご意見に共感を覚えるところが数多くありました。

作品の後半でさりげなく語っておられるけど、坂本さん自身が語られた、ご自身の創作活動について一番よく表現しているところが、「ずっと考えていることなんですが、自分ができてしまうことと、本当にやりたいことというのが、どうも一致しない場合が多いんです。できてしまうから作っているのか、本当に作りたいから作っているのか、その境い目が、自分でもよくわからないんですね。」(p273)という部分、だと思います。

やはり、坂本さんは天才なのだな、ということを思い知りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月12日
読了日 : 2024年1月12日
本棚登録日 : 2024年1月12日

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