坂本龍一さんの自伝。というかインタビュー形式の対談でご自身が語られた内容が本になったもの。記憶のある幼少時のことから語られている。坂本さんが自然に語っておられる様に感じてしまいます。しみじみ。
語られたことがほぼ直接文章になっているので、様々な言葉に対して注釈が付いている。私も時々注釈を見て、そういうことなのか、と頷いていました。
1950年代からの日本の情景もよく見えてきます。私は年下なので完全に同時代を生きたとは言えないけれど、かなりの部分が重なっている。特に一定期間、同じ地域で暮らしていたことがあり、当時の坂本さんの社会の見方、ご感想・ご意見に共感を覚えるところが数多くありました。
作品の後半でさりげなく語っておられるけど、坂本さん自身が語られた、ご自身の創作活動について一番よく表現しているところが、「ずっと考えていることなんですが、自分ができてしまうことと、本当にやりたいことというのが、どうも一致しない場合が多いんです。できてしまうから作っているのか、本当に作りたいから作っているのか、その境い目が、自分でもよくわからないんですね。」(p273)という部分、だと思います。
やはり、坂本さんは天才なのだな、ということを思い知りました。
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- 感想投稿日 : 2024年1月12日
- 読了日 : 2024年1月12日
- 本棚登録日 : 2024年1月12日
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