マレー半島、シンガポールの遍歴。一度訪れた方は分かると思うが、東南アジアの人々は、その日その日を懸命に生き抜き、いつか必ずお金持ちになって親孝行するんだと活気に溢れている。それぞれ文化風俗が異なっていても、共通の思考の枠というか、全く意見が通じない外国人ではなく、話せば道徳観など理解しあえる隣人感を感じることができる。沢木さんが言うように、香港ほどの地熱感は感じないが、個々人で夢と希望を持っており、自己肯定感が日本人と比較して高いと感じることがあった。
僕も中国留学中、抗州のとある工場に訪れて出稼ぎに来ていた10代半ばの女の子と話す機会があった。「私は将来花屋さんをやりたいの。きれいなお花で商売成功させて、お母さんにとびきり上等な花をあげるのが夢なんだ」と笑顔いっぱいに答えてくれた。
日本の社会的なレール、いわゆる大卒から大企業にはいるのが勝ち組と言われていた当時、そのレールから外れた僕には衝撃的な一言だった。
今を全力で生きて、将来の夢を忘れずに向かっていく姿に、羨ましいと思ったことを本書を読んで思い出した。
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- 感想投稿日 : 2020年6月24日
- 読了日 : 2020年7月29日
- 本棚登録日 : 2020年3月18日
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