AI vs.民主主義: 高度化する世論操作の深層 (NHK出版新書 614)

著者 :
  • NHK出版 (2020年2月10日発売)
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アメリカ大統領選挙での主戦術、SNSを用いたマイクロターゲティングは、従来の有権者への「訴え」が絨毯爆撃なのに対し、精密爆撃で個々を狙い撃ち誘導する手法。ゲッベルスがAI化され、ネットにて高精度で大衆煽動するイメージで、人々が無意識のうちに操られる世界に、民主主義は機能するのかという問題提起がなされている。とはいえ、もともと民主主義や選挙が、良心的で煽動とは無縁だと考えるのも、無理がありそう。形態が変わっただけで、本質はさほど変わってないのではないか、そんな思いはした。前回は大金を投じたトランプが勝ち、新戦術の有効性が立証されたものの、対立陣営が同じ事をすれば、良くも悪くも公平に収斂するような気がしないでもない。もう一つの論点は、日々吸い上げられ利用される個人情報保護、あるいはコントロールの問題だが、情報を渡さないで生きていく事が既に不便な時代。タップ1つがどんな意味と結果を持つか、再認識する所から始めるしかない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: IT/PC
感想投稿日 : 2020年3月30日
読了日 : 2020年3月30日
本棚登録日 : 2020年3月30日

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