「世界遺産」20年の旅

著者 :
  • 河出書房新社 (2016年12月22日発売)
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世界遺産の選定基準は結構恣意的な面があり、個人的には無視しない程度の目安にしか見ていないが、リストに載る事によって、自然なり建築含めた文化財なり、(観光振興よりはむしろ)保護の対象として認められ得る点は意義深いと思う。パルテノン神殿が過去に施された不適切な修復の跡が、今日まで弊害を及ぼしている例などは、単に修復すれば良いのではなく、適切な保護方法こそが大切という教訓を示している。印象的だったのは、渋滞緩和の為、住民投票による可決を以て、渓谷に架けられた近代的な橋が、世界遺産登録抹消の理由となった事例。これは渓谷が遺産の対象だったのが直接原因だが、住民の利便性が優先されるのはやむを得ず、また(著者によれば)景観的にも許容範囲だったとの事。登録数が増し、適宜柔軟な対応が必要とされる今後の世界遺産のあり方を示唆しているようでもあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 旅行
感想投稿日 : 2017年4月1日
読了日 : 2017年4月1日
本棚登録日 : 2017年4月1日

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