ゲームのガイドブックのようなデザインだが、中身は大航海時代の黎明から終焉までが最新研究も交えてきちんと解説されており、地図やイラストが豊富で「世界」の拡大と進歩が理解し易い。特に前半、ヨーロッパ人がアフリカ大陸の西側を南下するほどに、世界の果てと考えられていたラインが押し広げられる様を地図で視覚化したのは、ゲームに近い感覚があった。大航海時代は現在に至る西欧人天下の直接の端緒だが、なぜ彼らがそれを成したかといえば、(やむを得ない事情からにせよ)リスクを取ったところに最大の理由がある。善し悪しはともかく、未知の海とその先の新世界を探索する冒険譚は間違いなく面白く、誰が勝者になるかという観点で現代にも通じる教訓も伝えてくれている。東洋中心だった世界史の潮流を西洋中心と変えた約200年間を、大航海時代という定点観測で追うのは理に適っていて、時系列で主要トピックを手際良く纏めた本書は、良い入門編になるかと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年11月18日
- 読了日 : 2017年11月18日
- 本棚登録日 : 2017年11月18日
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