眠れる美女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
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『眠れる美女』

とある一軒家で…
眠り薬によって眠らされた裸体の美しいきむすめと一晩を共にすることができる。ただ、それはもうすでに「男」ではなくなった老人のみが集うことが許されるのだった。

まだかろうじて「男」ではある、江口老人がこの物語の主人公である。
老人は、決して眠りからめざめない娘の前で、自分がなさけなく、また病めるようにも思えてきて、
「老人は死、若者には恋、死は一度、恋はいくたびか」
と思いがけずにつぶやいた。

そして眠る娘の傍らで、かつての愛人たちの思い出に浸る。娘のみずみずしい肉体から放たれる芳香に酔しれながら、しだいに自らの死がより鮮明に色濃くなってゆく。
老人は、娘のそばで何を思い眠りにつくのか…。


ほか『片腕』『散りぬるを』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月16日
読了日 : 2021年1月15日
本棚登録日 : 2020年12月24日

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