少しずつ、ずいぶんと時間をかけて読んだものです。文庫本なので、嗣永桃子さんの解説もついています。なるほど、森さんが解説をお願いする理由がとてもよくわかる良い解説です。
筆者のものの見方はいつでも、どの編でも真実を一面の真実をついています。なるほど、これは名言、といつか引用したくなるに違いない、とメモするものばかり。
しかし、自分の心の他の面では「この真実は一面の真実だからね、他にも真実はあるぞ」ということを囁きかける自分がいます。
そして、おそらく、そういう読み方が良いのだろうと思うし、そういう読まれ方が良いのだろうと思うのです。
正解のない世の中を見つめ直す、と帯にあります。その通りの内容ですが、「正解のない世の中」とは「正解の多い、それも、半端ではなく、正解のとても多い世の中」なのだと思います。そして、正解とは真実の近似値なのだろうと思います。
そういう意味でも、筆者の一面の真実の突き方はとても魅力的でした。
この前作、「つぶやきのクリーム」も読んでみなくては、と思った次第です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
随筆
- 感想投稿日 : 2022年1月16日
- 読了日 : 2022年1月16日
- 本棚登録日 : 2022年1月16日
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