JRは生まれ変われるか 国鉄改革の功罪 (単行本)

  • 中央公論新社 (2023年10月10日発売)
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 本書でも指摘されている通り、赤字ローカル路線の経営は鉄道会社にとって重荷である。

 俺個人の考えとしては、ローカル線の役割は終わっている。
 ゆえに、それは別の交通機関に置き換えられるべきだと考えている。

 鉄道黎明期で鉄道が求められた一つに、未舗装路対策があったのではないかと考える。
 ひと雨降ればぬかるみになり、車輪の乗り物は通行困難になる。
 そこで道路整備の意味合いで鉄路が求められたのではないかと。

 時代は下り、鉄道の大量輸送の利点が各戦争を通して認められると兵員輸送、物資輸送を目的に鉄路が延伸される。
 また、林業や炭鉱など道路ではなく鉄路が求められた時代があった。

 さらに時は下り、かつて物資輸送が目的だった鉄路は、産業構造の変化により旅客輸送しか運ぶものが無くなった。
 しかし、道路整備が進むにつれて旅客輸送はクルマが担うようになった。
 一度、旅客目的に使われるようになった鉄道は公共交通の名のもとに、目的を失っているのに廃止することができなくなった。

 人力から馬車、鉄道、クルマ、飛行機と時代によって交通モードの転換が行われているのに、鉄道だけはレールの上を走るという150年前から変わっていない。
 輸送する旅客がいないのだから、赤字ローカル線は駆逐されて然るべきなのだと思う。
 鉄道でないといけないというのは、ただのノスタルジーだ。

 もし鉄道を残すのであれば、旅客輸送以外の新たな役割を与えなければいけない。
 その役割のひとつが観光なのだろうが、観光列車だけで赤字をペイできるようでなければ存続させる意味がない。

 以上、約15年にわたって鉄道事業に関わる俺の持論でした。
 鉄道存続論者はメンテナンスコストを考えてないのだよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2024年1月2日
読了日 : 2024年1月2日
本棚登録日 : 2024年1月2日

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