電通でコミュニケーション・デザイナーとして活躍する著者が、コミュニケーション・デザインとは従来の広告・プロモーションと何が異なり、どのような特徴を持つのかという点を、豊富な実例とそのコンセプトを解説しつつまとめた1冊。
挙げられている実例は、かなりそれぞれ毛色も異なり、帰納的にそこから「コミュニケーション・デザインとはこうである」という結論を出すのはなかなか難しいが、読んで感じたのは、デザインの領域において近年提言されているアフォーダンスの概念を、コミュニケーションの領域に持ち込んだもの、という印象であった。
元々、知覚心理学の領域から始まったアフォーダンスの概念は、デザインの領域において、「環境をデザインすることで、目指すべき行動を相手に取ってもらう」ことと解釈されている。コミュニケーション・デザインでは、クライアント企業が求める顧客へのアクション-それは、AISASのようなインターネットが普及した消費社会での購買モデルの各プロセスと対応関係にある-を実現するために、その行動を顧客が取りたいと思うために必要なインサイトの洗い出しや、複数メディアの最適な組み合わせによる個々のプロモーション活動を行っていくというものだと理解した。
本書の大半を占める個々の実例紹介では、行動の背後にどのようなインサイトがあるのかを徹底して考えている様子が強く伺われ、広告宣伝活動に従事する人でなくても、示唆されるところは大きいはず。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ビジネス
- 感想投稿日 : 2014年8月31日
- 読了日 : 2014年8月31日
- 本棚登録日 : 2014年8月27日
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