相互の面識がないまま辻邦生と水村美苗の二人が公開書簡の形で文学論を語り合い、そのやり取りをまとめた一冊。日本の古典から近代文学、世界の文学作品まで、広範な文学世界が自由に語られており、一級の文学論を楽しむことができる。
冒頭で水村美苗が述べているように、文学とは皆が読むべきものでは決してなく、好きだから読むのであるという当たり前の主張は、当たり前だからこそ堂々と語る人が少ないのかもしれない。しかし、今の日本であれ文学を求めている人なんて、「人口の0.05%しかいない」(東浩紀)のが事実であり、好きだからこそ読むという文学の快楽を堂々と肯定するのは、それはそれで好ましいとすら感じる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2015年5月5日
- 読了日 : 2015年5月5日
- 本棚登録日 : 2015年5月3日
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