インテルの元CEOアンドリュー・グローブによる、いかに環境変化に適応するか、という本。1996年に書かれた本なので紹介される技術や事例は今からすると古いが、基本的な考えは今でも有効だと思う。
話は企業経営を中心に進められていく。ビジネスに影響を与える6つの力「既存の競合企業」「供給業者」「顧客」「潜在的競合企業」「代替手段」「補完関係にある企業」のいずれかの力が大きく変化した時、従来の経営方法は不適切なものとなり、やり方を変える必要が出てくる。ではそのためにはどうするか、というのが本書の内容だ。基本的には早くから情報を収集し、変化の兆しを捉えたら体力のあるうちに適応するための行動を取るということになる。これは個人レベルでも同じで、本書の最後には応用編として、キャリア転換点について書かれている。
興味深いと思ったのは、結局アンドリュー・グローブも心理的安全性を重要視しているということだ。本書には「心理的安全性」という単語は登場しないが、彼が言っているのはまさにこれである。なぜ心理的安全性が重要かというと、変化の兆しを最初に知るのは最前線である現場で働く中間管理職たちだからである。変化に気がついた中間管理職が、その不安を上層部へ率直に伝えることができるかによって、変化に対応できるかが決まる。グローブは怖く厳しい上司というイメージが強かったが、カサンドラの重要性を認識していたことを知って見直した。おそらく怖い上司というのは間違っていないが。
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- 感想投稿日 : 2021年10月23日
- 読了日 : 2021年10月8日
- 本棚登録日 : 2021年10月8日
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