平安のステキな!女性作家たち (岩波ジュニア新書 976)

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  • 岩波書店 (2023年10月24日発売)
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感想 : 15

平安時代の女流作家を取り上げ、生涯、書いた内容、当時の風習、書いた経緯などが紹介されている。
それぞれの作家の呼び名も道綱ママ、せいちゃん、むらちゃん、和泉さん、さらちゃん などと親しみやすい。
関係者系図、略年表で確認しつつ読むと、分かりやすかった。

道綱母
兼家とのセレブ婚がハッピーではないことを人に読んでもらう前提で21年間の内容を書いたという。
兼家が冷たいというようなブルーな話なので、まさか日本三美人の一人だとは意外だった。
兼家と別れて60歳まで生きたというが、離婚後はどういう風に生きたのだろう。

清少納言
褒められた自慢話が多いイメージだったが、大歌人の娘であることや、髪や容姿にコンプレックスがあったりもして、定子に仕えている時が彼女の人生の中でハイライトだったのだなという印象を受け、やはり晩年はどう生きたのか気になった。

紫式部
20歳年上の夫が亡くなった悲しさを物語制作にぶつけたと解釈している。
清少納言、和泉式部を批判したりなど、陰キャラのイメージだったが、道長との仲を匂わせるなど批判相手と似たような部分を彼女も持っていて、ただ負けず嫌いな人という印象を持った。

和泉式部
名前は知っているがあまり、彼女について知らなかったので、興味深かった。
恋愛に関しては少女漫画の主人公のような展開の人生。
身分違いで頻繁に会えないから、お相手の親王が自邸に彼女を連れてくるあたりは、なんとなく源氏物語の帝と桐壺更衣を連想してしまう。
愛された自分の身体も、愛した人の形見という表現が色っぽく、モテた人だったのも分かる。
大スキャンダルの真相をお相手の尊厳を守るために当事者が語ったものが和泉式部日記であるというのもドラマチック。
再婚相手は20歳ほど年上なので、穏やかな人生を送ったのではないかと感じた。

菅原孝標女
更級日記の作者としか知らず、更級日記の内容も知らなかったが、菅原道真の子孫で道綱母とも親戚関係だったりと興味深いプロフィールだった。
物語好きで源氏物語が憧れ作品と書かれており、今どき女子感があったのと、当時でも源氏物語は本当に人気だったのだなと実感した。夢の伏線回収も、自分の人生の経験も大きな一つの物語として捉えているように思った。

平安時代の女性たちの想いが窺い知れる一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月23日
読了日 : 2024年3月23日
本棚登録日 : 2024年3月23日

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