日本の古典、教養、身体についての捉え方などについて、能や論語をベースにした対談形式の本。
中学生・高校生に読んでほしいとのことだが、日本の古典にこれまで興味がなかった人にとっても面白く読める。
最初は蘊蓄というかマニアックな知識の応酬のように思っていた、読んでいくと能に関わっていくと、興味の対象が拡がっていき、それが教養になるのだなと感じた。
能が武士の嗜みとされていたのには、当時のリーダーシップをとる上で必要なことが能に詰まっていることや、能を見るのに頭で分かろうとすることを諦めることで、面白くなるのだと知り、能に俄然、興味が湧いた。
教養について、とにかく本を多読し知識が豊富といったイメージだが、教養を身につけるというように、繊細な身体感覚に落とし込んでこそではなのだなと考えさせられた。
印象に残ったのは、以下の部分。
絶対に上達しない方法とは、先生のいいとこ取りのみをすること。自分の師匠の見識や技量について、判断する眼を自分が持ち合わせているという自惚が、学びを妨げる。
教育者は愛情ではなく敬意を持って、生徒に接することで、一方的な愛情というエゴではなく、生徒の自己価値観を自覚させ心が開かれる。
日本人は、常に生成変容する民である。
他の文化が入ってきても、上書きするのではなく元々あったベースの上に、異文化を取り入れてきた。
日本の英語教育は植民地根性。
英語を学べば金になるという方針で英語教育が盛んだが、本来、外国語を学ぶのは、自分の知らなかった価値観との出会いであるはず。
- 感想投稿日 : 2023年6月30日
- 読了日 : 2023年6月30日
- 本棚登録日 : 2023年6月30日
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