贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年11月15日発売)
3.98
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本棚登録 : 4737
感想 : 425
5

ついに手を出してしまった、御子柴シリーズ。
岬洋介シリーズが清廉潔白な 白シリーズ だとしたら
御子柴礼司は 黒シリーズ なのだろうなと、躊躇していたのですが
レビューを読んで、好奇心が抑えきれなくなりました。
読んでみると、やはり黒い! それなのに、とても魅力的。
ベートーヴェンの <熱情> と共に、死体遺棄シーンから始まるなんて。
それぞれテーマ曲が当てられるのも、中山氏の作品の魅力的なところです。
                                                                                                                                        
悪辣な依頼人の仕事を引き受け、法外な報酬を搾り取る御子柴弁護士。
手段を選ばず、どんな罪状も勝訴に持っていくという。
第一作の今回は、三億円の保険金殺人事件を担当。
一方で、最初の遺体遺棄事件を追うのが 捜査一課の渡瀬と古手川。
渡瀬がいい味を出していて、御子柴との対峙にわくわくしました。
今回、御子柴は報酬の見込めない国選弁護人を引き受けています。
それは何故なのかを理解したのは、渡瀬でした。
立場は違うものの、洞察力の鋭さにおいて、二人は同類です。
                                                                                                                                                      
そしてこの作品の肝は、なんといっても御子柴の過去の物語でしょう。
御子柴と名乗るようになった事情など、少年時代が詳しく語られます。
98% 嫌な人間だと思って読み進めていたのですが
終盤になるにつれ、御子柴を 魅力的にさえ思い始めていました。
                                                                       
保険金殺人事件 裁判の行きついた先は…驚愕でした!
これなんですね、御子柴シリースの魅力は。
第二作は予約している状態で、まだ手元にありません。
見切り発車で借りてきた第三作を先に読むべきかどうか…。
悩ましいところです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中山七里
感想投稿日 : 2021年12月19日
読了日 : 2021年12月19日
本棚登録日 : 2021年12月19日

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コメント 2件

akodamさんのコメント
2021/12/20

yyさん、こんばんは。
あまりにも熱量の高いレビューに、危うく最寄駅で降り忘れそうになるほど見入ってしまいました^ ^

ようこそ、ミコシバーワールドへ❇︎
そうなのです。悪辣なはずの御子柴に気付けば魅了させられている。それはもはやミコシバーの証です。

yyさんも仰せの通り、1作目の見どころの一つに渡瀬との対峙シーンは私も外せません!

先に3作目の恩讐の鎮魂曲を借りられたとのこと。悩みますよね。手に取るタイミング、沸き立つ好奇心。あー、やっぱり読書って素敵ですね。悩ましいこの時間も楽しんでください!

yyさんのコメント
2021/12/20

akodamさん 

「降り忘れそうになる」なんて、最高の賛辞です 。やった~!
akodamさんが 灯してくださった 明かり。
これから楽しませていただきます。
ありがとうございます。

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