くるたんさんのレビューに心惹かれて手に取った本。
表紙の絵から得た印象は、ほんわかした物語。
ところが、とっても切ない家族の物語でした。
六つの家族を描いた短編集。
どの家族の絆も、細くなり、もう少しで切れそうに。
でも、やがて光が差し込む予感が漂います。
それぞれの短編の最後、上手いなぁ…。
海辺の鄙びた町の理髪店の店主が
帰り際の客にかけた言葉。
「お顔を見せいただけませんか、もう一度だけ。
前髪の整え具合が気になりますもので」
ミステリーのように謎が解かれた後のこの言葉。
何とも言えない余韻が残りました。
絶縁状態だった娘が訪ねた実家。
帰り際に娘が母親にかけた言葉は
「また来るから」
母親に対する強く激しい葛藤の末に
思わず口から出たこの言葉。
胸が熱くなりました。
四作目の子どもが語り手のお話と
最後の「成人式」のストーリー。
辛くて心を外にはずして読みました。
どのストーリーが響くかは、
人生のどのあたりを歩いているかで
変わるのかもしれません。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
荻原 浩
- 感想投稿日 : 2023年4月14日
- 読了日 : 2023年4月14日
- 本棚登録日 : 2023年4月14日
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コメント 2件
くるたんさんのコメント
2023/04/15
yyさんのコメント
2023/04/15