海の見える理髪店

著者 :
  • 集英社 (2016年3月25日発売)
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本棚登録 : 3909
感想 : 561

くるたんさんのレビューに心惹かれて手に取った本。
表紙の絵から得た印象は、ほんわかした物語。
ところが、とっても切ない家族の物語でした。

六つの家族を描いた短編集。
どの家族の絆も、細くなり、もう少しで切れそうに。
でも、やがて光が差し込む予感が漂います。

それぞれの短編の最後、上手いなぁ…。
海辺の鄙びた町の理髪店の店主が
帰り際の客にかけた言葉。
「お顔を見せいただけませんか、もう一度だけ。
前髪の整え具合が気になりますもので」
ミステリーのように謎が解かれた後のこの言葉。
何とも言えない余韻が残りました。

絶縁状態だった娘が訪ねた実家。
帰り際に娘が母親にかけた言葉は
「また来るから」
母親に対する強く激しい葛藤の末に
思わず口から出たこの言葉。
胸が熱くなりました。

四作目の子どもが語り手のお話と
最後の「成人式」のストーリー。
辛くて心を外にはずして読みました。

どのストーリーが響くかは、
人生のどのあたりを歩いているかで
変わるのかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 荻原 浩
感想投稿日 : 2023年4月14日
読了日 : 2023年4月14日
本棚登録日 : 2023年4月14日

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コメント 2件

くるたんさんのコメント
2023/04/15

yyさん♪こんにちは♪
そして素敵なレビューをありがとうございます♡

レビューを読ませていただいて、思わず涙が。
そうなんですよね、あの理髪店のラストの言葉がたまらなく胸打ちますよね。あの言葉にどれだけの想いが込められていたんだろう…と。ほぼ会話文だけで店主と客の関係を見せるところもうまかったと思います。

興味を持って読んでいただきありがとうございました(o´ω`o)

yyさんのコメント
2023/04/15

くるたんさん

コメントありがとうございます。
でもね、白状すると、今回はレビューを書くのに
自分の言葉が上手く浮かばなかったの。
くるたんさんの表現が素晴らしくて
先に読んじゃったからなぁ…みたいな。

読後、もう一回くるたんさんのレビューを読むと、さらに素敵。
あの一冊が、美しい一編の詩にまとまってる!
心にしっかり刺さっちゃいました ♡(^^♪

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