黒蜥蜴 江戸川乱歩ベストセレクション (5) (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2009年1月24日発売)
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感想 : 65
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学生時代、江戸川乱歩作品の初読みがこれでした。
江戸川乱歩作品の中で1番好きです( ´∀`)
子供の頃に少年探偵シリーズ、怪人二十面相を読んだ記憶はありますが。
高校時代、京極夏彦先生の京極堂シリーズにはまったことから、横溝正史と江戸川乱歩を読み漁りました。
人が死んでも、恋愛要素が入っても、総じて耽美な世界観が崩れないのがすごい。
そして、文中からでも漂う黒蜥蜴の妖しい美しさ!
こんなヒロイン(?)、なかなかいません!
殺人犯なのに!泥棒なのに!犯罪者なのに!!
この小説が発表された頃って、まだ読者が統一して想像できる妖艶美女のイメージがある女優さんとかもいないと思うんです。
でも、多分読んだ読者が皆々、極似した美女を想像できたと思います。それくらい、文字だけでイメージがはっきり伝わってくる!すごいです。
艶黒の髪、少し吊り気味に大きく魅惑的な瞳、真っ白な肌、真っ赤な唇。さらりと衣擦れの音がして、しっとりと女性にしては重厚感のある声音。。みたいな。
プライドが極高いのに、時折り覗かせる乙女感。
そして、恋愛ごとがあまりないイメージだった明智小五郎本人との、はっきり分かる恋愛描写。
黒蜥蜴は続編が欲しかったし、はっきりがっちり結ばれて欲しかった!!そういう章が読みたかった!
他の話の殺人者が持つ欲望や情愛感にはまったく共感も続編希望も出ないんですが、黒蜥蜴だけは愛しい犯罪者なんですよね。
激しい自己愛と変態性、残虐性の強さは、他の犯人とも同等レベルなんだけどなぁ。
江戸川乱歩を読んでみたいって人がいたら、私はこの本からお薦めします(о´∀`о)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月17日
読了日 : 2021年3月24日
本棚登録日 : 2021年3月24日

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