蜘蛛ですが、なにか? (3) (角川コミックス・エース)

  • KADOKAWA (2017年6月9日発売)
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本棚登録 : 369
感想 : 12
5

海(≒マグマ)産物は美味しい。

序盤最大の山場と名高い「地上100メートルの防衛戦」決着、そして次なるは三六〇度見渡す限りマグマの海な「中層」へ侵入、突破を目指すことになる新展開な三巻です。

ここまでで原作小説一巻までの内容を消化。
実は、原作では色々な視点から世界の謎を追っていく構造になっているのですが、コミカライズでは主人公視点一本に絞ったことで実に展開がスピーディですね。
とは言え、今回は描き下ろし漫画(10P)として一巻に登場した「卵」のその後が書かれています。
サプライズですね! 今は広大な迷宮の中で一人蜘蛛な自分とお付き合うしかない主人公に同輩がいたってことをはじめて教えてくれたわけですから。

かかし朝浩先生なら主人公視点で今後も世界観を広げてくれそう。
って言うか、卵の彼女のこの時の心情は原作では出てないですしね。というか、やっぱりわりと悲惨なんですけどちょっと笑っちゃいました。
それ以上に、ミッシングリンクを埋めてくれたわけで地味ですけど、小説との橋渡しや連携って意味では理想的な描き下ろしだと思います。

それを置いても、かかし朝浩先生書くところの主人公は本当に可愛らしい。線を絞ってシンプルに描きつつも、段々装飾が追加されていく辺り芸コマ。

相変わらず、一コマ一コマがLINEのスタンプになりそうな完成度というか、原作の情報量をアイコン化することによって取捨選択と整理を進めつつも印象に残すようにしています。強い。

原作にもあったパロディ要素ですが、メジャー、定番レベルからこんなんわからねーよ! ってレベル(指摘されてはじめて気づいた)までオリジナルで幅広く追加されているので楽しいです。

あと、この作品を読んでから白身魚がもっと美味しく頂けるようになりました。ありがとう、『蜘蛛ですが、なにか?』!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: NET
感想投稿日 : 2017年6月25日
読了日 : 2017年6月25日
本棚登録日 : 2017年6月25日

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