年越し派遣村の村長をしたことで知られる社会活動家で、内閣府参与として政府入りした経験も持つ湯浅誠氏による民主主義論。
民主主義は面倒くさくて疲れるものだ。その事実を直視した上で、どうすべきか考えよう。民主主義の活性化のためには、対話が必要であり、そのための時間と空間が必要だ。それらをデザインする力を身につけることが必要だ。本書の大きなメッセージはこのようなものである。
本書の内容には、かなり共感しながら読み進めた。自分が漠然と考えていたことをうまく言い表してくれていることが多かった。特に政策実施には、異なる意見の人との意見調整が必須であり、その調整コストの負担が必要(政府のやる気の問題ではない)、最善を求めつつ最悪を回避するという態度が求められる、という指摘には膝をうつものがあった。「”溜め”のない社会」になりつつあるという懸念にも同感である。結局、人任せではなく、一人ひとりが直面する課題に向き合い、他者と対話して、一つずつ前に進めていくということを積み上げていくしかないのだと感じた。
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- 感想投稿日 : 2017年7月20日
- 読了日 : 2017年7月14日
- 本棚登録日 : 2017年7月20日
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