≪大転換≫としての都市型社会の成立という時代認識のうえで、≪分節政治≫の構想、<政策型思考>の定位という新しい政治理論について論じている。具体的には、都市型社会の成立が広がれば、政府は、自治体、国、国際機構に三分化するとともに、政治は、この各政府レベルにおける≪政策・制度≫の模索・選択についての、市民の「組織・制御技術」となる、としている。
1991年に出された本としては、地方分権についての考え方など、非常に先見的な内容になっている。しかし、都市型社会の成立に伴い、国家観念は崩壊・終焉したということを前提にしているが、国家は2010年代においても、いまだに重要なアクターとして機能しており、その認識は著者の願望に過ぎないといえる。このように、本書の記述は実証性に乏しく、観念的に過ぎるように思われる。また、政策主体として「市民」を高く評価しすぎのようにも感じた。
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- 感想投稿日 : 2016年12月26日
- 読了日 : 2011年5月23日
- 本棚登録日 : 2011年5月17日
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