世界史の中の資本主義: エネルギー、食料、国家はどうなるか

制作 : 水野和夫  川島博之 
  • 東洋経済新報社 (2013年6月7日発売)
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感想 : 6

やはり水野和夫氏の本は良いですね。私の感覚とかなりマッチしていて納得感あります。大澤真幸氏、島田裕巳氏、萱野稔人氏など、様々な分野の第一人者と共著を著し、視野を広げようとする姿勢には敬意を表したいです。
水野氏の言わんとすることをまとめると長くなってしまうのですが、短く言えば、「常にフロンティアを求め続ける資本主義の拡張は地球規模で限界に突き当たりつつあり(それでも日本の国債は後10年はもつだろうと言っています)、何時かは前回より遥かに大きい「リーマンショック2」が訪れ、今の「長い21世紀」が終わった後には、近代資本主義とは違った経済システムが出現してくるだろうが、その姿が具体的にどういったものかは、まだ誰にも見えていない」ということです。
終章で水野氏は次のように言っています。「私は今は『これで十分』と考えなければいけないときだと考えているが、その考えは世の中にまったく受け入れてはもらえない。『敗北主義』ととられ、『人間は永遠に進歩する』と反論されるのだが、何をもって進歩と言うのだろうか。そもそも資本主義は、世界中の人々が等しく豊かになるような仕組みではない。今後の世界で、アジアと欧米の均一化が進むとしても、その一方で各国内の格差は広がるだろう。おそらくある時点で、『今の経済システムでは、世界の70億人のうち60億人が豊かになるような世界はできない』ということが、誰の目にも明らかになるだろう。」
只、一点だけどうしても水野氏から直接伺わなければと思っているのは、「資本主義とは、人間の飽くなき欲望(グリード)を前提とするシステムである」という前提で、私は資本主義というのは、もう少し人間の本質に根ざしたもので、人間が人間であるということと資本主義というのは、もっと深く結びついているのではないかと思っています。

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感想投稿日 : 2013年8月15日
本棚登録日 : 2013年8月15日

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