イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222)

著者 :
  • 筑摩書房 (2016年12月6日発売)
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イノベーションですっかり遅れをとってしまった日本、その原因を色々な切り口から分析しています。終始一貫しているのは、日本でイノベーションの機運が衰退しているのは、日本人のメンタリティや日本企業の文化などよりも、構造的・制度的な点を強調して指摘している点。シャープが生産技術至上主義&基礎研究軽視によりいかにしてイノベーションのマインドを失ったか、日米ともに民間企業は中央研究所モデルを次々に廃したが、米国はベンチャー育成を省庁一体で取り組んだのに対して、日本では中小企業対策に矮小化されてイノベーションの原動力となるベンチャーにつながらなかった事、JR西日本や東電の事故に見られる"技術経営"の欠如が自然独占ゆえ熾烈な競争に疎くてどうしても減点主義、リスク回避型になってしまう事に起因しているなど示唆深い洞察が多かったです。また、イノベーションが発生する原理についても演繹、帰納、回遊などの概念を用いてイノベーション・ダイヤグラムとして整理したり、コア学問重視や横断的な学問領域の重要性などの話も面白かったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス、経営
感想投稿日 : 2018年6月19日
読了日 : 2018年6月19日
本棚登録日 : 2018年4月10日

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