死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2003年12月17日発売)
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感想 : 192
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死刑執行人という仕事を代々受け継いできたサンソン家。その役割を担うに至った宿命と使命、数奇な運命について綴った歴史裏話。

世襲制であり、その当時必須の職業だったにも関わらず、周囲からは分かりやすく忌み嫌われていたこと。特別な手当を受け比較的裕福だったこと。差別を受けつつも、自ら志を高く保ち役割を全うしてきたこと。「死刑」という制度の裏には手を下す人もいる、という当たり前のことに気付かされました。
死刑の様子や、死刑器具の紹介については生々しい描写もあります。「ギロチン」誕生の背景にはそれまでの死刑執行人の苦労があり、むしろ彼らにとっても受刑者にとっても救世主とも言えるような器具だったとは驚きです。

時代とともにその地位も方法も変化を見せ始め、「死刑」という制度自体が見直され始めます。そんな矢先の、4代目サンソンに舞い込んできた「国王死刑」の仕事。心と行動が相反する時の苦しさは想像しきれません。
歴史、社会、文化、人間模様、そしてサンソンの人間性。読みやすいのに血の通った、色々と考えさせられる一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2016年9月6日
読了日 : 2016年6月5日
本棚登録日 : 2016年5月31日

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