舞台はギリシャ・アテネ。それぞれの愛を突き通そうとするアテネの公爵たち、夫婦げんか真っ只中の妖精たち、舞台の練習に励む職人たち。
下っぱの妖精が「恋わずらいの花の汁」を塗る相手を間違えたことから、恋の矢印が入り乱れ、怒りの矛先も乱れに乱れ、大騒動へと向かっていく。ドタバタの恋模様を描いたシェイクスピアの喜劇。
ここに登場する人物たちは皆自分たちの恋心に正直で、同時に妖精たちの手違いに翻弄されていきます。
短い作品ながら複数の登場人物が登場しますが、最も印象に残ったのはヘレナです。
「取柄のない女だけど、おそばにいることだけは許して。」――ディミートリアスを一途に追いながらも想い人には見向きもされず、さらには妖精の手違いによって恋敵の恋人ライサンダーから言い寄られる。切ない恋に燃え上がる矢先に2人の男たちから心乱される、この作品で最も踏んだり蹴ったりな立場なように思います。それゆえ一番感情豊かで心惹かれるキャラクターでした。
おそらく演劇で観たら煌びやかな衣装と世界観、印象的なセリフが飛び交うと思うといつか舞台で拝見したいものです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
外国文学
- 感想投稿日 : 2017年12月30日
- 読了日 : 2017年12月29日
- 本棚登録日 : 2017年2月22日
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