地球上で最も重い元素であるウランの秘密を解き明かそうと懸命に努力した科学者たちと、ウランを使った核分裂とその連鎖反応のプロセスが、「マンハッタン計画」による原子爆弾の開発につながる様子を克明に描いている。「マンハッタン計画」の裏側を丹念に調べ上げ、総仕上げである広島・長崎の原子爆弾の投下はまったく必要がなかったと著者は断言している。大半のアメリカ人にとって、「原爆の使用が多くのアメリカ人、日本人の命を救った」という解釈が一般的ときくが、同じアメリカ人である著者は、この説に真っ向から反対の立場をとっている。
著者は、ドイツにとどまってナチスドイツの原爆開発に協力されたとされる科学者ハイゼンベルグの行動にも焦点を当てている。著者は1970年代UCバークレー校でハイゼンベルグ本人にめぐり合うことがある。若い学生にとって、ハイゼンベルグの創造的な才能と量子論の解釈に魅了されたと言うが、しかし、この天才の人生に暗い影があったことを浮かび上がらせた。本著の中で、(人類が原子爆弾製造の競争を回避する可能性が)「失われてしまったのはハイゼンベルグの頑固さのせいだった。」と断じている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
サイエンス
- 感想投稿日 : 2011年9月4日
- 読了日 : 2010年11月14日
- 本棚登録日 : 2011年9月4日
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