19世紀末から20世紀前半にかけての英米ゲイ文学の短篇を集めたアンソロジー。
O・ワイルド「W・H氏の肖像」「幸福な王子」
H・ジェイムズ「密林の野獣」
サキ「ゲイブリエル‐アーネスト」
D・H・ロレンス「プロシア士官」
シャーウッド・アンダソン「手」
E・M・フォースター「永遠の生命」
S・モーム「ルイーズ」「まさかの時の友」
大作家ばかりで全ての作品がすでに邦訳されており、「ゲイ文学」の主題を取り払っても単純に上質な短篇集として楽しめる。O・ワイルドの有罪判決の衝撃が尾を引き続けていた時代で、明白に同性愛を主題にしている作品は多くない。だからこそ「なぜこれがゲイ小説といえるのか」を明らかにする解説が重要になる。「カミング・アウト」と「パッシング」の概念など非常に読みごたえがあるのだが、各作品の解題は分散して作品の後に入れる方がわかりやすかったかもしれない。
お目当ての「密林の野獣」はH・ジェイムズ魂が迸って最高だった。彼については別の機会にじっくり語りたいけれど、じらしにじらされる快感。でもその核心は実はとてもシンプルで、深く共感できる。
もう一つのお目当て「永遠の生命」はE・M・フォースターのおいしい所獲りのような作品。背徳性・耽美性を排し、真摯かつみずみずしく抒情的な彼の同性愛小説がとても好きだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
アンソロジー
- 感想投稿日 : 2014年11月15日
- 読了日 : 2014年11月15日
- 本棚登録日 : 2014年11月15日
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