初っぱなから共感の嵐。自身も駐在でアジア圏で子育てをしていて著者と同じような焦りを持ったし帰国後駐在中に失ったものを一生懸命取り戻そうと躍起になりながら、この自分のやってる必死なやり方って専業主婦しかできなくない?となり、教育迷子の中この本と出会った。
『Love, Money & Parenting』でも学歴による収入格差が大きい国や時代ほど親が教育熱心になると書かれているという。そのために『「生存競争」教育への反抗』では、セーフティネットの充実や再分配政策により教育の失敗をしても大丈夫という安心感を醸成することが必要と述べているようだ。
学だけではなく、「Well-rounded」(日本語で近いのは文武両道?)であってほしいと願うシンガポーリアンは、教育競争加熱の中、子供にただただ幸せになってほしいという万国共通の願いをベースに持ちながらも、落ちこぼれては欲しくないという中間層が押し上げる熱に抗えず子供たちに余暇でもプレッシャーを与え続ける。余暇の時間さえ手段化して合理的に判断してやるスポーツや習い事を選択している。本来評価しづらい教育活動が、グレード化されてしまっており、可視化されやすいところに親たちは注力することとなる。
まさに"ヘリコプター・ペアレント"でないと、この世の中で子供たちに幸せを託せないのか。
そして後半は共働き家庭の母親の内なる思いが綴られてたんだけど、、やはり三世代に渡って祖父母に世話してもらって仕事と育児を両立してもらった世代は自分のような子供時代は送って欲しくないとは声だかに言えないもんだよな、、
だからできれば専業主婦になりたい、と言ってキャリアを捨てる女性、最初からキャリアは諦める女性があとをたたないのだと。
これって日本の行き着く未来なのかしら。著者も書いていたが、日本の中受の世界の闇とシンガポールの教育の闇ってのは近しいものがあるんだろうな。
- 感想投稿日 : 2023年2月21日
- 読了日 : 2023年3月1日
- 本棚登録日 : 2023年2月21日
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