アイアムアヒーロー (9) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館 (2012年5月30日発売)
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本棚登録 : 1056
感想 : 70
4

台湾にいる編集者の物語から始まる。
編集長になって権限があれば、
英雄の漫画を連載にもっていこうという考えがあったというのが
あれほどダメ出ししていたのは期待からだったのか
浮気相手を優先したかったからなのか。
意外な気持ちがした。
このエピソードから、世界中がこのような状態で
進度の差はあれど混乱していることがわかる。

比呂美の治療の為に病院を目指す小田と英雄。
ZQNがいる可能性が高いというのに、
「俺が見てきます」
とあっさり冷静に言える英雄がすごい。
病院の貼り紙によれば、ZQN化に
『多臓器不全及び反社会性人格障害』
という感染病としての名前がつけられたことだけでなく
病院で対応が不可能なので政府通達により一般病院は順次閉鎖される。
噛まれても自宅に戻り相談センターへ電話するしかないし、
おそらくセンターが機能していたとしても、
混み合ってつながらなさそうだ。
公共交通機関を使うな、自宅から出るなというのも
現在のコロナ禍と似ているが、それを無視して出歩くものが
感染症を広げているのも同じだ。
感染者が外出したら自衛隊が緊急出動し、国家を脅かすとして
内乱罪を適用するというのが興味深い。
ごく初期の段階でこれが決定され機能していたら
台湾の新型コロナのように抑え込めていた可能性もあるかもしれない。

小銭を見つけて自販機にかけつける英雄。
比呂美の傷を洗う為の水が欲しいという小田さん、偉い。
ライフライン自動販売機なら無料で飲めたかもしれないが。
非常時は何が役に立つかわからない。
自販機のそういった機能も本当に大切だと改めて思う。

今後もし生存者を見つけたら救助したいという方針を
確認し合う二人。これも相当の覚悟だと思う。
この状況に慣れてしまっているのでは、と確認する小田さん。
人型のものを殺すことに慣れていないと思いたいし、
逆に慣れないとやっていけない状況でもある。

万が一の時は自分をおいて逃げろと言い出せる英雄は
男としての意地だけだとしても恰好良いし、
「死んだらあたしらが路頭に迷うから死ぬな」
と言う小田さんも恰好良い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2021年3月12日
読了日 : 2021年3月8日
本棚登録日 : 2021年3月8日

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