結婚詐欺師(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年1月28日発売)
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本棚登録 : 676
感想 : 49
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別段、つまらないとは思わない。
どちらかと言えば面白い部類だとは思う。
しかしどうにも面白いと言い切れない一因は、
登場人物たちの魅力の無さのせいだと思う。

松川にしろ阿久津にしろ
それぞれ違う意味で魅力が無く、感情移入のしようがない。
強いて言うならば美和子がまだしも自分と近いようには感じた。
彼女が阿久津と別れた理由として、
夢をあげていた それについては唯一共感できた。

心理描写に優れているという評価らしいのだが
共感出来ない以上私とはどうも相容れないらしい。
結婚詐欺師がいて、刑事がいて、捕まえる。
言ってしまえばただそれだけの話だ。
ストーリー展開にミステリーらしいどんでん返しでもあるか
と期待したが、一切無かった。
先が予測出来るミステリーというのは、私の中では微妙な位置づけだ。

また、女性である筆者が、女性が騙される話を書くのは
一体どんな思いでなのかいまいち読み取れなかった。
女性に注意を喚起したいのか、
そうは言っても松川は夢をくれるし、夢を与える男が魅力的だと言いたいのか





金を騙し取られるのはまだしも、
妊娠して捨てられたり、流産したりというのは
同じ女としてあんまりに感じる。

松川も、どうせなら最後まで夢を見せて
君のことが大好きだけれど抗えない理由で分かれなければならなくなった
という設定で別れてやればいいのに。
そうすれば尚更女たちは夢を見続け
良い思い出として、松川のことを訴えようなど思いもよらないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2009年12月31日
読了日 : 2009年7月4日
本棚登録日 : 2009年7月4日

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